私は車検の民間指定工場の団体の役員もしていました。静岡県の総会なとでM&Aの話をしてもらったこともあって、多少は知識をもっていたのです。

正直、M&Aに関して、当初はある意味で会社を売るという引け目もありました。しかし、きちんとした条件を提示して納得のいく形で成立させれば、社員たちの将来を考えても非常に理にかなった会社の承継の方法にちがいないと、いまでは思っています。

私が提案した条件は2つでした。1つは社員の雇用継続で、もう1つは給料などの条件の継続です。できれば会社名も変えずにいてもらえればありがたいと思っていましたが、これは条件というよりも願望というくらいのものでした。

M&Aを考え始めたときに、M&A支援を行っているN社を紹介してくれたのがS社というコンサル会社の方でした。14年ほど前から同社に定期的な研修をお願いしていて、たまたま以前から勤めていた方で、N社に転職した人がいるというので紹介を受けたのです。

担当してくれたSさんは、先に述べた2つの条件に合う相手企業を何社も探してくださいました。

M&Aは、契約が成立するまで何事も秘密裏に運ばなければなりません。その点、なにか心配事ができると、Sさんが親身になって相談に応じてくださったことは非常に救いになりました。本当に自分の代理人として安心して任せられるという信頼感を持つことができ、Sさんの存在は実に心強いものでした。

何十社も紹介していただいたお相手企業の資料を読む中で、GLIONグループの社長とお会いしてみたいという気持ちになったのは、ここなら私がやってきたお客さま第一主義を継続してもらえると思えたからです。

いただいた資料を読んでいると、GLIONグループも、自社だけの利益を追求するのではなくお客さまや取引先の利益までも考える｢ウィン･ウィン･ウィン｣の経営をされているということが伝わってきました。本音を言えばGLIONグループは規模も大きい会社だったので、当初は飲み込まれてしまうかもしれないという危惧は持っていました。しかし、実際にGLIONグループのオーナーと何度かお会いして、創業者ならではの説得力ある話しぶりや情熱からも信頼がおける人物だと感じました。この人なら会社を託せる。そう確信できたのです。